「"文学少女"と死にたがりの道化」 野村美月 06年05月10日発行

  • 白い指でおもむろに本のページを破くと、遠子先輩はそれをぱくりと口にくわえ、ヤギのようにむしゃむしゃ食べはじめた。(P9)
  • 弓道部の練習場は、体育館の横にある古い道場だった。正面に板で作った的が五つ掲げてある。他に、藁を俵状にまとめたものを台に乗せて、後ろから板でしっかり固定したものや、古い畳なんかが並べてある。/部員は白い着物に胸当てをつけ、下は黒い袴という格好で、弓をきりきりひきしぼり、矢を飛ばしている。脇のほうで十数名ジャージを着て、太いゴムを弓矢のように持ち、「足踏みぃ!」「胴造りぃ!」「弓構え〜!」と声をあわせて引っ張っているのは、一年生だろう。(P74〜75)