2008-03-23から1日間の記事一覧

「新本格魔法少女りすか」 西尾維新 04年07月05日発行

稚き頃の記憶が、恐怖と悲哀のみしかもたらさぬ者こそ、不幸なるかな。 H・P・ラヴクラフト『アウトサイダー』 魔道書の写本は実益を兼ねたりすかの趣味なのだ。振り返って本棚を見れば、各種魔道書が文字通り犇いていて、殺風景な部屋に彩りを添えている…

「"文学少女"と死にたがりの道化」 野村美月 06年05月10日発行

白い指でおもむろに本のページを破くと、遠子先輩はそれをぱくりと口にくわえ、ヤギのようにむしゃむしゃ食べはじめた。(P9) 弓道部の練習場は、体育館の横にある古い道場だった。正面に板で作った的が五つ掲げてある。他に、藁を俵状にまとめたものを台に…

「クロイヌ家具店」 大海赫 04年05月10日発行

ところが、ある日ぼくがいすをシイの木かげにおいたまま、ちょっと目をはなしているまに、やっかいなことがおこった。/シイの木のやつが、ふといみきを二度曲げて、ぼくのいすにこしかけてしまったんだ。いすにのっているみきの一部分が、シイの木のおしり…

「ママが六人???」 大海赫 05年12月25日発行

ママはひとりいればいい。ところが、弟のミオと妹のナギサは、三人もママをほしがっている。/「ナギサは、ナギサだけのママがほしいの。おにいちゃんだって、おにいちゃんだけのママがほしいと思わない?」/とナギサはいうんだ。ミオも同じ考えだ。(P7) …

「ビビを見た!」 大海赫 04年02月10日発行

ぼくは、生まれつき目が見えない。/だけど、目が見えたらいいな、なんておもったことない。/いちどだって!/そりゃあ、もと目あきだった人なら、そうおもうかもしれないよ。/でも、うまれたときから目の見えないぼくは、このままでちっともこまらない。…

「コンテンツの思想」 東浩紀 07年03月30日発行

(*東浩紀発言)僕は、『ほしのこえ』の最初の「世界、って言葉がある。私は中学のころまで、世界っていうのはケイタイの電波が届く場所なんだって漠然と思っていた」というミカコの台詞がセカイ系的想像力の特徴をよく表していると思っています。そういう…

「動物化する世界の中で」 東浩紀・笠井潔 03年04月22日発行

(*東浩紀)柄谷行人の衰弱。しかしそれは決して彼個人の問題ではありません。七〇年代以降、長いあいだ「思想」と「文学」と「政治」の言葉が接する場所で活躍し続けてきた批評家のこのあまりにも激しい凋落は、やはり、私たちの時代の何かを映している。…

「テヅカ・イズ・デッド」 伊藤剛 05年09月25日発行

「マンガ表現史の不在」には、必ず理由がある。それは、マンガ表現それ自体に埋め込まれたものだ。よって、本書の関心は必然的にマンガ表現そのものの解析と、そのためのモデルの構築に向かった。結果として見えてきたのは、手塚治虫を「起源」とすることで…