「ママが六人???」 大海赫 05年12月25日発行

  • ママはひとりいればいい。ところが、弟のミオと妹のナギサは、三人もママをほしがっている。/「ナギサは、ナギサだけのママがほしいの。おにいちゃんだって、おにいちゃんだけのママがほしいと思わない?」/とナギサはいうんだ。ミオも同じ考えだ。(P7)
  • 「そうか! あんたは、ママがふえたのをこわがっているのね。いい? 人間は飛行機が発売される前は、飛行機をばかばかしいと思っていたわ。ところが、発明されると飛行機に平気で乗っている。電話も、そう。テレビも、そう。/だから、ママがふえたのも、そうなの!」(P28〜29)
  • 「ママって呼ぶとね、みんな一ぺんに答えちゃうの」/「シールでもはったら?」/ぼくは半分やけくそでいったのに、ナギサは、このアイデアにとびついた。/ミオは、ありあわせの、野菜と果物シールを出してきて、ママたちの親指のつめにはらせてもらった。(P32)
  • その時、柱時計が、けだるそうに、ノーン、ベーン、ダーラ、リーン、ノーン……と、十時を打った。(P112)
  • イスラエルでは、ユダヤ教キリスト教イスラム教の信者達が、エルサレムをそれぞれの宗教の聖地と信じて、今もなお血みどろの戦争を続けています。互いの肉親を殺されたりして、深い深い恨みが重なっているので、戦争は泥沼のように手のほどこしようもなくなっています。/しかし、あの地点から幸いにも遠い私には、あんな戦争がいかにもむなしく見えます。私は、地球こそ聖地だと思うからです。しかも、地球はすべての宗教の聖地です。宗教を信じていない人達にとっても……。(P127)