「封印作品の謎」 安藤健二

  • 85年頃、ウルトラセブンの第12話の海賊版ビデオを幼女殺害事件の宮崎勤から手に入れた人がいた。まだ流通の初期段階で、宮崎勤海賊版ビデオの流通に大きな役割を果たしていたといえる。
  • 92年に出版された「怪獣学・入門!」には12話についての2ページにわたるコラムが載っていたが、第二版以降、広告と差し替えられてしまった。当時の編集者、町山智宏によると円谷プロからコラムの掲載を続けるなら写真掲載の許可を出さないと言われたとのこと。
  • TBSで67年12月に初放映された12話は30%を超える高視聴率だったが、放映時に抗議がきていた形跡はない。
  • スペル星人のデザインを、脚本段階のカブト虫型から「人型で白い体にケロイド」にしたのは監督の実相寺昭雄。実相寺はもっと全身の血管が浮き出たような姿をイメージしていた。
  • スペル星人は地球人が打ち上げた核爆弾のためにケロイド状の姿になった。新鮮な地球の子供の血をとるために、吸血用の「宇宙どけい」を配っている(カード用の設定。テレビ放映の設定は自らの核実験で被爆)。
  • テレビ放映時になかった「被爆星人」というニックネームをつけたのはフリー編集者の大伴昌司。
  • スペル星人は70年ごろに放送されたいた「ウルトラファイト」にも登場している。
  • まぐろ漁船第五福竜丸放射能汚染を受けたことが原因で食卓のマグロ離れが発生。魚の売れ行きが急激に落ち込み、魚屋には「当店の魚は原爆に関係ありません。無害です」などの張り紙が目立った。
  • 特撮ライターの竹内博は自作の怪獣スクラップ図鑑を円谷プロの人に見てもらったのが縁で、中学生という若さで円谷プロの出入りするようになり、怪獣の設定資料作成を任されていた。
  • ウルトラマンに出てくる怪獣「ジャミラ」はアルジェリアの独立闘争で虐殺された少女の名前。
  • 「さあゲームの始まりです 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ」(少年Aの犯行声明分)
  • 「自分みたいにアホで将来に何の展望もない人間に、家が安定した裕福な子供でもわずか5分、10分で殺される不条理さを世の中にわからせたかった」(宅間守
  • 宅間守は逮捕された当初「阪急池田駅で100人をめった切りにした」「事件前に精神安定剤を10回分飲んだ」と心神耗弱の不起訴を狙っていた。以前、宅間は精神障害を理由に傷害事件が不起訴になっている。
  • 洋服店を営む美川冴子は「狂わせ屋」。脳波変調機によって一時的に精神を錯乱させて、殺人を犯される商売をやっている(怪奇大作戦・第24話「狂気人間」)。
  • 「きちがい」という言葉が、放送禁止用語になったのは74年の大阪精神障害者家族連合会(大家連)の抗議が発端。大家連はテレビ・ラジオを一日中つけっ放しにするモニター体制を作り、昼夜分かたず抗議を続けていた。
  • 73年の五島勉の「ノストラダムスの大予言」は98年までの25年間で452版、シリーズの売上は1000万部以上。
  • 出版当時はオイルショックや公害問題などで文明への警鐘みたいな風潮がとても盛り上がっていた。
  • ゴシップ月刊誌「GON」の編集長はノストラダムスの終末予言が当たらなかったため「俺はまだ生きていなくちゃいけないのか」と絶望し精神病にかかった。
  • 99年滅亡説が広く信じられていたのは日本だけで、99年を過ぎるとブームは急速に廃れたが、日本以外の国は今なお、予言の的中に恐れている人々がいる。同時多発テロが米国に襲った01年、検索エンジン「グーグル」の検索キーワードトップ20の1位は「ノストラダムス」。同時多発テロを予言していたという噂がネット上にかけめぐっていた。
  • 特撮専門誌「宇宙船」98年冬号に東宝の封印映画「ノストラダムスの大予言」と「獣人雪男」の二つがドラマCD化されると告知され、騒然となった。発売元は「グリフォン・インク」という謎の会社。ドラマCDが発売された直後からこの二つのノーカット海賊版が出回り始める。商品を買った人にダイレクトメールが届き、何万円か払うとビデオをお分けします、と書いてあったらしい。
  • グリフォンの社長は地上げ屋暴力団と深いコネクションがあり、関西で特撮関係の博物館を経営していた。社長は借金返済のために博物館経営の人脈を生かし、ドラマCDを制作する。第二弾として「緯度0大作戦」「火の鳥」のドラマCDも告知されていたが実現せず。社長のその後の消息は不明。
  • 手塚治虫の最期の言葉は「隣に行って仕事をする。仕事をさせてくれ」。
  • 手塚治虫漫画全集に収録されている「新宝島」は本人が全部描き直したものでオリジナル版の絵とは全然違い、話もキャラクターも全部一から描き直された。
  • 手塚治虫の死からわずか1年8ヵ月後、手塚作品のほとんどが一年以上にわたって出荷停止になり、絶版の危機に陥った。「黒人差別をなくす会」という市民団体の抗議が発端。手塚プロは巻末に注意書きを付け加えることで対応した。
  • 「スチモシーバー」とは68年にエール大学のホセ・デルガド博士が発明した脳に埋め込む超小型の装置。てんかんの発作に悩む20代の女性に埋め込み、スイッチを押して電流を流すと突然、激怒の発作が始まり、女性は部屋の壁に身体をぶつけたり、怒りながら部屋中を歩き回ったという。
  • ロバート・ヒース博士は60年代に重度の睡眠症に悩む28歳の男性の脳内の数箇所に電極を埋め込み、それぞれの場所を刺激するスイッチを男性に持たせた。その結果、彼が脳のある部分の刺激にはまりこみボタンを連打し、性的な快感に溺れたという。その快楽中枢は「快楽の中心地」と呼ばれることになった。
  • 77年9月にロボトミー手術の後遺症に悩んだ桜庭章司という男が手術した精神科医の自宅に押しかけ、妻と義母の二人を刺殺するという「ロボトミー殺人事件」が起こった。ロボトミーの発案者、モニスもロボトミーを受けた患者からの暴行が原因で55年に死亡している。
  • 75年のハウス食品のインスタントラーメンのCMは「私作る人、僕食べる人」というキャッチコピーが「女性差別だ!」と女性団体の抗議を受けて、放送中止になっている。
  • オバケのQ太郎は87年に藤子不二雄がコンビ解消して以降、全単行本が絶版。アニメの再放送もされなくなる。