「超日常体験報告」 象さんのポット 94年01月10日発行

  • 幽霊を見たとか、幽体離脱体験、ポルターガイスト現象体験、UFOを見たなどの超自然現象と思われる話から、驚異的な偶然が起きた話、変わった人の話、危うく性犯罪の犠牲者になりそうだった話、実際なってしまった話、危うく死にそうになった話など、さまざまなタイプの「超日常体験」が集まった。
  • 片方の道を見てみると、真っ直ぐに伸びている道を、雨傘をさした和服姿の女性が、半ズボンをはいた小さな子供の手を引いて歩いていた。Kさんは「こんな所、人が歩いてるんだな」と思いしばらく見ていた。しかし、すぐにおかしなことに気がついた。その二人、足は動いているが全然前に進んでいないのだ。
  • 宮野「でも偶然と言ってしまえばそれまでですけど、三人一緒にその力が現れたとなると何か理由があるんじゃないですかね」時生「そうすると盆踊りかな。盆踊りで踊ったことがその力を出すエネルギーになった」宮野「だから昔から盆踊りなんてするんですかね。お盆の時期にしても行事にしても、もともとは何か理由があるんでしょうからね」
  • そのときホテルの部屋でTさん達は女子中学生らしく、かわいい花や蝶、動物などの描いてあるカードを使った遊び、花札をして遊んでいた。途中、Tさんはトイレにいきたくなり、賭場を離れ、部屋の入り口を入ってすぐのトイレに入った。
  • 宮野「じゃあ、その友達にしか見えなかった幽霊なんでしょうかね」時生「そいつの幻覚かもね。それとも俺が実在する人間が見えなかったってことかな」宮野「そんなことあったら大変ですよ。日常生活困りますよね」時生「満員電車に乗って「なあんだ。ガラガラじゃねえか」なんて思ったりしてね。それはそれで、おもしろそうだけどね。でもそいつはいまだに、絶対にいたと確信してるからね」
  • 宮野「加富君、狂ったように勉強してたんじゃなくて、狂って勉強してたんじゃないですか」
  • 彼女の話によると、彼女の部屋の隅のほうに、スーパーマーケットのビニール袋がしばってたくさん置いてあるらしかった。それが夜中にひとりでにガサガサガサと音をたてたという。その子はなぜか直感的にMさんが来たと思ったのだ。そのときにはMさんはまだその友人の家に遊びに行ったことはなかったのだが、その夢で見た家の間取りを言っていくと、驚いたことに、その子の家の間取りと同じだったことが分かった。それから半年くらいした後に、その家に実際に行ってみると、夢で見たのとまるっきり同じで、夢で入って来た窓まで分かったのだった。
  • 宮野「魂と魂の付き合い、裸と裸の付き合いなんかより、もっと親密な付き合いって感じがしますね」
  • 時生「でもやっぱり意思の力って効果あるんだな。「そんなことあるわけないよな」って意識的に思って言ったから元に戻ったんだろうな」宮野「それじゃあ「そういうことってあるよな」なんて言ったら、完璧に幽体離脱したんでしょうね」時生「そうかもね。ふざけて天才バカボンのパパみたいに「これでいいのだ」なんて肯定的に言ったら、一生そのままになってしまったりして。永久幽体離脱
  • ある日、羽田は歯が浮いたような感じがして、歯が全部抜けるという夢を見た。すると次の日、おじいさんがぽっくり亡くなってしまった。もちろん、そのときはその夢とおじいさんの死が関係しているとは思わなかった。その二週間後、羽田はまた歯が全部折れる夢を見た。するとその二日後、今後はおばあさんが亡くなってしまったのだった。そのときも、別に何とも思わなかった。そんなことがあってから三年たった中学三年生の夏、また同じような夢を見た。すると次の日、積丹で海水浴をしていた同級生が水死してしまったのだった。
  • 今までその夢を見た後に死んだ人は、おじいさん、おばあさん、おじさん、友人三人、母親の看護婦仲間、それに学校の先生が二人──卒業してから──だという。しかし、その夢を見て知り合いが死ななかったというのが一回だけあったという。そのときは、自分の財布がなくなってしまったという。
  • 宮野「でもこの能力を意識的に使えて、行きたいところに行けたらすごいでしょうね」時生「みんながそんな能力持ったら世の中変わるだろうね」宮野「旅行会社つぶれますね」時生「それどころか鉄道、航空、なにしろ運輸関係全部だめじゃない。それに世の中からプライベートというものがなくなるんじゃない。どこかに一人でいると思っても幽体が見ていたとかね」宮野「それは困りますね。うんこしてるところなんて見られたくないですね」時生「でも犯罪とかはなくなりそうだね。幽体警察なんかできたら、ロボコップより役に立ちそうだね。どこでパトロールしてるか分からないもんね」宮野「でも幽体犯罪もでてきて大変じゃないですか」時生「犯人、犯幽体というのか、捕まえられなくて困るだろうね」
  • しかし、最後に取材した場所は違った。そこは幽霊が出るので有名な相模原外科病院、正確に言えば相模原外科病院の廃墟を取材することになった。
  • ジーコ内山という芸人が見たUFO。機体は真っ白。四つの窓に太陽の光が反射。全長は推定300〜500メートルあるいはそれ以上。音もなくゆっくり横に飛ぶが突然ワープする。
  • 宮野「本当に変わった子供だったらしいですよ。自分の膝叩いて血豆をつくったりとかしてたらしいですからね」
  • 時生「図太い神経だよね。柏木も頭のレントゲン写真撮って見せてやればよかったのにね」宮野「でもそれで本当に機械みたいなのが写っていたら怖いでしょうね」時生「そうだね。そう言われたら、東南アジアの売春街で女を買いあさった男がエイズ検査にいけないみたいに、レントゲンを撮るのもできないかもね」
  • 仕事がちょっと暇になった高野氏は、ロビーでテレビを見ていた。すると、電話がかかってきた。内線かなと思い高野氏は電話をとった。しかし、その電話はどこからかかってきたか、想像もつかないものだった。「あなたのおかけになった電話番号は現在使われていません」向こうからかかってきたにもかかわらず、電話からはテープの声が聞こえて来た。おかしいなと思い高野氏は受話器を置いた。すると十分か十五分かくらいしてまた電話がかかってきた。高野氏が受話器をとると「あなたのおかけになった電話番号は現在使われていません」内容は同じだった。
  • ある日の夜中、そのころファミリーレストランでアルバイトをしていた服部氏の弟が、午前三時ころ家に帰って来ると、一階の居間で服部氏がコタツに入ってテレビを見ていた。画面は砂の嵐だった。もちろん、湾岸戦争の米軍の活躍場面ではない。服部氏が見ているのは番組ではなかったのだ。「ザーッ」という音声が不気味に部屋に響いていた。服部氏は猿でもすぐ飽きてしまうような画面を、じっと見つめ続けていたのだった。驚いた弟は思わず叫んだ。「な、何やってんだよ。こんな夜中に」服部氏は答えた。「寝てるんだよ」弟は対応の仕方を考えたが、すぐにあきらめた。その答えには返す言葉はなかった。孤高の芸術家の仕事を邪魔してはいけない。弟はテレビに向かう兄をそのままにして、二階の自分の部屋に上がって行った。
  • 宮野「でも、無意識のうちに何かをすると言うことを、意識的にできればいいですね」時生「論理が矛盾しているような気がするけど、言いたいことは分かる。それで嫌な仕事とかは無意識のうちにやってしまえば良いと言いたいんだろ」宮野「そう。そうすればストレスなんかたまらなっくて、健康に良いんじゃないですか」
  • 恐ろしくなって服部氏は逃げた。そして思った。病院では生きてる人間の方がよっぽど怖いと。
  • 実は以前から石仏君は向かいの人は変わった人だろうと思っていた。その人の部屋のドアの外側、廊下から見える方に婦警のポスターが二枚貼ってあってあるのだ。一体、どうして婦警のポスター、それも外側に張ってあるのかと、不思議に思っていたのであった。
  • それからしばらくして加富君が表の方を見ると、店の外にトランクが円形に並べられているのに気がついた。そしてその真ん中にその男が一人で座っていた。何をしているのかとよく見ると、弁当二十個くらいを全部並べて、一口ずつ食べていたのであった。
  • 宮野「そうすると、この人は鏡の自分にケンカ売ったりする人をかっこいいと思ったんですかね。そんな人います?」時生「その人の身近な人でいたんじゃないか。その人にあこがれていたんじゃないかな。ひょっとしてオリジナルかもしれないけどね」宮野「そうじゃないですか。自分で摸索しているのかもしれないですね。新しい反応の仕方というのを」時生「芸術家なのかもしれないな」
  • 時生「でもこの話の人の場合、直接的に「私って普通じゃないの」って言うところはすごいね」宮野「具体的に何がすごいんだか全然分かりませんもんね」時生「選ばれた女って言うのがそのことの説明らしいけど」宮野「誰によって何に選ばれたんでしょうね」時生「多分、自分によって普通じゃない女に選ばれたんだろうね」
  • 宮野「そうかもね、やっぱり座っていきなり立たれたら、恥ずかしいでしょうからね。だけどなかなか「俺は俺を恥ずかしい目にあわせることが一番嫌いなんだよ」とは言えないもんね」
  • タレントの八重崎ゆう子の家に不法侵入した男は一方的に話してきた。「最近暗いぞ。どうしたんだ」なんと男は説教まで始めた。