「1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド」宮崎哲弥 06年11月15日発行

  • 1657年1月に江戸の過半が焼失する明暦の大火が起こり、戦死者は十万を越え、体制の安定に心弛みつつあった幕閣の危機感は薄く、保科正之のみが機敏に対処した。金蔵を開けて十六万両を救助金として放出しようとしたところ、老中たちは驚愕し静止した。正之は動じることなく「公の貯蓄とはこのようなとき、民を安堵させるためのものだ」と押し切った。
  • 死や遺体についての遺族の態度は非クリスチャンの韓国人を除く外国人においてはほぼ一致していた。彼らは遺体を引き取ろうとはせず、現地に埋葬することを望んだ。「遺体はモノに過ぎない。魂は神の御許に召された」と彼らは一様に述べた。多年に渡って海外戦没者遺骨収集団を派遣したりする日本人にはなかなか共感できないところ。戦死者も現地の墓地に葬ることが多い。日本は遺体を燃やすが、アメリカやカナダは90%の死体にエンバーミングと呼ばれる消毒、防腐、修復、化粧の加工を施す。どちらが遺体に執着といえるだろうか。
  • マクドナルドのある国は戦争を起こしたがらない」(T・フリードマン
  • 1918年の「スペイン風邪」の世界的流行で四千万もの人名を奪った。日本でも三十九万人。第一次世界大戦の戦死者が一千万弱だから暴威のほどがわかる。
  • PTSDなどの惨事トラウマの歴史は鉄道事故とともに始まった。
  • ブルーギルは1960年に当時の皇太子が、訪米の際に手土産として持ち帰られ繁殖したものを「おめでたいプリンスフィッシュ」として各地で放流した。
  • 竹島は英語でリアンクール・ロックスという。
  • 十七世紀に朝鮮の漁民、安龍福の活躍で日本に「竹島は朝鮮の領土」と確認させたとある。安龍福は、竹島問題が浮上する度に勧告では英雄扱いされている。
  • 1950年代以前はモーツァルトは「精神的にまだ大人になっていない人間」が好む音楽という扱いだった。